23/08/25 オーケストラの饗宴:ラヴェル作曲、ダフニスとクロエの音楽の華麗なる調べ

氷見健一郎公式サイトをご覧くださりありがとうございます。本日行われます、セイジオザワ松本フェスティバル オーケストラAプログラムで演奏されるダフニスとクロエ第二組曲を紹介します。

2023/08/25,27 OMF オーケストラ コンサート Aプログラム /Bass-chor

オーケストラ コンサート Aプログラム 日程 2023年8月25日(金) 開演 19:002023年8月27日(日) 開演 15:00 会場 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)車椅子席の…

作曲者紹介

ジョセフ・モーリス・ラヴェルJoseph Maurice Ravel(1875年3月7日 - 1937年12月28日)
フランスの作曲家、ピアニスト、指揮者。

作曲のスタイルとして、現代主義、バロック、新古典主義、そして後の作品ではジャズの要素を取り入れる。彼は新しい音楽表現形式を取り入れて曲を試作することを好む。その一つとして、彼の最もよく知られた作品である「ボレロ」(1928年)では、従来の、次々と曲が展開するやり方ではなく、最後まで同じ旋律の繰り返しを用いた作曲法で曲が作られている。

オーケストレーション(管弦楽曲への編曲をすること)の能力が高いことで知られるラヴェルは、他の作曲家のピアノ音楽のオーケストレーションもいくつか行っている。その中で、ムソルグスキーの「展覧会の絵」(1922年版)が有名。

ダフニスとクロエの作曲と公演

興行師セルゲイ・ディアギレフと彼が主宰するバレエ団バレエ・リュスがラヴェルから新しいバレエ音楽を書いてほしいと依頼され、作曲がスタートします。

ディアギレフの振付師ミシェル・フォーキンは「ダフニスとクロエ」の神話に基づくバレエのアイデアを提唱しており、1909年初頭にラヴェルと協力してシナリオを考案し始めました。しかしながら、その打ち合わせはロシア語とフランス語での言語の問題もあり、朝3時までの作業が1週間続いたということが書かれた手紙が残っています。

1910年に公演予定だったのですが、ラヴェルはなかなか曲を完成させることができず、その年の公演は中止となります。一方でピアノバージョンの初版を1910年5月1日に完成させました。このバージョンでは、現在演奏されているものとは大きく異なり、最後の全員の踊りの場面においは、すべて3拍子で書かれ、合唱部分が最後6小節間和音を伸ばすだけ、全体の長さも半分ほどだったそうです。これにはラヴェルは出来栄えに納得することができず長い年月をかけて書き換えることになります。

計画を白紙にするとまでに至ったのですが、当初の締切予定日の2年後にようやく完成させます。公演日まで迫る中、十分なリハーサル時間が取れなかったこと、こだわり抜いて作った全員の踊りの部分に5拍子を取り入れたことでダンサー達が対応できなかったなどなど不運が重なり、4回上演予定が2回になってしまい、バレエ公演としてはあまりうまくいかなかったそうです。リハーサルでは舞台袖にラヴェル自身が出向き、1,2,3、4、5と数を数えてサポートしたそうです(笑)

しかしながら楽曲としての評価は高く、オーケストラの演奏会で演奏されています。この曲は合唱なしでもできるそうなのですが、ラヴェルは合唱あり公演に強くこだわっていたそうです(合唱を入れるとコストがかかるため、削りたいと相談を持ちかけられた時にもめたというエピソードがあるとか)。

ダフニスとクロエ第2組曲

ダフニスとクロエは、古代ギリシャのヤギ飼いのダフニスと羊飼いのクロエの愛を描いた作品で、この第2組曲ではバレエの三幕の部分の夜明け、パントマイム(無言劇)、全員の踊りを本編ほぼそのまま演奏される作品です。ラヴェルの管弦楽曲の編曲能力の高さを感じ取れるサウンドの美しさで、ソロの楽器も効果的に使われています。バレエのための楽曲なので、テーマや、各楽器の移り変わりひとつひとつがシーンになっており、場面を想像しながら聴くととてもおもしろいです。ラヴェルこだわりの合唱の旋律が加わると更に世界観が変わり、とても魅力的に感じます。最後の全員の踊りでは徐々にヒートアップして行き、圧巻の一言で締めくくられます。

最後に、、、、

サイトウ・キネン・オーケストラの素晴らしい演奏にのせて歌うことができる極上体験は本番を残すのみとなりました。本日の公演はキッセイ文化ホールにて19時開演、明後日にも15時より同じホールで公演されます。本日のみ若干数の当日券がでるとのことでした。この機会に是非お越しいただけますと幸いです。今日、明後日の本番、音楽を感じ、楽しみながら歌っていきたいと思います。引き続き応援していただけますととても嬉しいです!

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