23/08/23 プーランクの音楽の神秘:スターバト・マーテルの美しき調べと感情の響き

皆様、氷見 健一郎公式サイトをご覧下さりありがとうございます。今回は現在取り組んでおります、OMFセイジ・オザワ 松本フェスティバルにて行われるプーランク作曲、スターバト・マーテルを紹介します。

2023/08/25,27 OMF オーケストラ コンサート Aプログラム /Bass-chor

オーケストラ コンサート Aプログラム 日程 2023年8月25日(金) 開演 19:002023年8月27日(日) 開演 15:00 会場 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)車椅子席の…

作曲者紹介。

フランシス・プーランク(Francis Jean Marcel Poulenc)(1899-1963)

フランス、パリの作曲家兼ピアニスト。多様な音楽作品を残し、特にピアノ組曲『3つの無窮動』やオペラ『カルメル会修道女の対話』、ソプラノと合唱のための『グローリア』などが有名です。

ピアニストとしても活躍し、バリトンのピエール・ベルナックやソプラノのドゥニーズ・デュヴァルとの共演でも評価されています。蓄音機の重要性を早くから認識し、幅広く録音を行いました。

スターバト・マーテルとは?

 「スタバト・マーテル」は、13世紀のキリスト教の賛美歌で、イエス・キリストの十字架での受難を通じて彼の母マリアの苦しみを描いています。作者はフランシスコ会修道士のヤコポーネ・ダ・トーディか、教皇インノケンティウス3世のいずれかとされています。

タイトルはその冒頭の一節「Stabat Mater dolorosa」からきており、これは「悲しむ母が立っていた」という意味です。ペルゴレージ、ボッケリーニ、ロッシーニなど、多くの作曲家がこの詩を用いて作曲しています。

プーランクのスターバト・マーテルについて

「スターバト・マーテル」は、プーランクにとって初めての管弦楽と合唱の作品です。この作品も友人の作曲家フェルーの交通事故死の悲報を聞いて作曲した”黒い聖母への連祷”と同様に、友人である画家クリスチャン・ベラールの追悼のために作られました。プーランクは「レクイエム」として作曲せず、「スターバト・マーテル」を選びました。これは、心を打つようなテキストが、友人の魂をロカマドゥールの聖母に捧げるのに適していると感じたからと言われています。

作品はわずか2ヶ月で作曲されました。この作品は12曲で構成されており、各曲間の長さも細かく楽譜に記載されています。第1曲、第6曲、第12曲で戻ってくるモチーフを中心に構築されています。ソプラノ、アルト、テノール、バスの四声のコーラスですが、各パート内でも分岐があり、バスだけでなくバリトンにまで分けられています。それだけ音が分けられるので、もちろん音同士がくっつくことになるわけで、これがプーランクの友人の死に対する苦しみなどを表現しているのではないかと感じられます。

参考音源紹介

今回指揮をされるステファン・ドゥネーヴさんと、フェスティバルの名前にもなっている、小澤 征爾さんのアルバムを紹介します。

最後に、、、、

この曲との出会いは、2019/5/11にティアラこうとう(江東公会堂)大ホールにて行われた、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団さんの第57回ティアラこうとう定期演奏会でした。高関 健マエストロとソプラノソロは中江 早希という布陣で演奏されたプーランクのスターバト・マーテルは、合唱のハーモニーの美しさ、アカペラのクオリティの高さ、ソプラノソロの付点のリズムを生かした歌唱が特に印象的でした。

その後実際に僕も歌う機会をいただけるとは思っていませんでしたが、なかなかやりがいのあるコーラスとても楽しいです。一瞬聴いたときの音同士のぶつかりは難解なのですが、丁寧にハーモニーを確認していくと美しさがあるそんな和音の連続で紡がれていきます。苦しみ、悲しみそれだけのテーマで 曲を作ることもできると思いますが、その先にある救いの部分も音で表現するプーランクはすごいなと感動しています。

この記事を執筆中にチケット情報を調べてみるとウェブでの予定取り扱い枚数はすべて完売してしまったとの表示になっていました(8/25 下部追記しました。)。たくさんのお客様に聴いていただけるということでとても楽しみです。当日券の情報までは調べられていないのですが、公式ページの案内をチェックしていただけますと幸いです。公式SNSアカウントでは稽古の様子などが随時アップロードされています。合わせてのチェック推奨です! 

※23/08/25追記

当日券は17時30分より、S, A席を若干枚数販売予定です。※27日公演は完売。