Neumann TLM107レビュー|バス歌手がナレーション・声楽・ソプラノ録音で使って感じたこと

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どうも氷見です。

前回までの記事では、YouTubeナレーション用に使っている Shure SM7B について紹介しました。

バス歌手がShure SM7BをYouTubeナレーションで使ってみた感想|TLM107との使い分けも紹介

※本記事はアフィリエイト広告を利用しています どうも氷見です。今回は、僕がYouTubeのナレーション収録で使用しているマイク、Shure SM7Bを紹介します。 SM7Bは、放送・…

今回は、僕が以前から使っているコンデンサーマイク、Neumann TLM107 について書いてみます。

TLM107は、僕の環境ではナレーションだけでなく、声楽の録音にも使っているマイクです。
自分の声はもちろん、ソプラノなど他の声種の録音でも使用してきました。

結論から言うと、TLM107は派手に音を作るマイクというより、声の質感を丁寧に拾ってくれる、扱いやすいコンデンサーマイクだと感じています。

一方で、YouTubeナレーションのように「すぐ録りたい」「部屋鳴りをなるべく抑えたい」という用途では、SM7Bの方が便利な場面もあります。

この記事では、TLM107をナレーション・男性声楽・ソプラノ録音で使って感じたこと、そしてSM7Bとの使い分けについてまとめてみます。

TLM107はどんなマイクか

NEUMANN TLM107 Studio Set(国内正規品3年保証)(ノイマン)(TLM 107)(EA4)(コンデンサーマイク)  |イケベ楽器店オンラインストア

TLM107は、Neumannのラージダイアフラム・コンデンサーマイクです。

公式サイトでは、ボーカルや楽器に使えるリファレンスクラスのマイクとして紹介されており、5種類の指向性、パッド、ローカットを切り替えられる柔軟性が特徴とされています。

主な特徴は以下の通りです。

  • ラージダイアフラム・コンデンサーマイク
  • 5種類の指向性を切り替え可能
  • パッド:0 / -6dB / -12dB
  • ローカット:lin / 40Hz / 100Hz
  • トランスレス回路
  • セルフノイズ:10dB-A
  • 最大音圧レベル:141dB、パッド使用時は最大153dB
  • ボーカル、ナレーション、楽器録音など幅広く使える

5種類の指向性を切り替えられるので、録音する声や部屋の響きに合わせて調整しやすいのは大きな利点です。

また、背面にあるジョグダイヤルで指向性、パッド、ローカットを切り替えられるのも特徴的です。
ライトの表示も見やすく、少し未来的な雰囲気があって、個人的にはかなり気に入っています。

本体の縦の長さが比較的短めなので、デスク周りやリフレクションフィルターと組み合わせるときにもセッティングしやすいと感じています。

購入するなら、ショックマウントがセットになった Studio Set を選ぶのがおすすめです。
コンデンサーマイクは振動や机の共振も拾いやすいので、できれば最初から専用マウントを使った方が安心です。

ナレーションで使った感想

ゲーム実況のイラスト(女性)

TLM107をナレーションで使うと、声の細かいニュアンスをかなり丁寧に拾ってくれます。

SM7Bのように近接してしっかり喋るというより、少し余裕を持った距離でも声の質感が自然に入ってくれる印象があります。
声を必要以上に張らなくても、細かいニュアンスまで拾ってくれるのはコンデンサーマイクらしい良さです。

自己ノイズも低く、静かな環境で録れば、かなりクリーンな素材を録ることができます。
TLM107のセルフノイズは公式スペックで10dB-Aとされており、非常に静かなスタジオの環境音よりも低いレベルだと説明されています。

音の印象としては、僕の環境では派手に高域がキラキラするというより、やや落ち着いた質感に感じます。

特に、耳に刺さりやすい成分が最初から少し扱いやすい状態で録れる印象があります。
そのため、ナレーションでも歌でも、録音後に高域を強く抑える作業が少なく済むことがあります。

もちろん、これは僕の声、部屋、マイク距離、使用している機材環境での印象です。
高域のきらびやかさを積極的に録りたい場合には、別のキャラクターのマイクの方が合う場面もあると思います。

ただ、自宅でナレーションを録る用途では、TLM107の落ち着いた質感はかなり助かっています。

自宅ナレーションではC-Voxも便利

C-Suite C-Vox Noise & Ambience Reduction

TLM107はコンデンサーマイクなので、周囲の環境音や部屋の響きも拾いやすいです。

エアコンの音、パソコンのファン、キーボード操作音、外の音などが気になる場合は、録音環境そのものを整えるのが基本です。

ただ、ナレーション用途では、UADの C-Suite C-Vox を使うこともあります。

C-Voxは、ボーカル録音向けのノイズ・アンビエンス軽減プラグインです。UAD公式では、ファンやエアコン、交通音などの環境ノイズ、不要なリバーブやルームトーンをリアルタイムで軽減できると説明されています。

僕の場合、歌の収録では基本的に使いません。
歌では声の響きや空間の情報を大切にしたいので、こうした処理を強くかけると不自然に感じることがあるからです。

一方で、ナレーションでは言葉の聞き取りやすさが最優先になる場面も多いので、部屋鳴りや環境ノイズを少し抑えるためにC-Voxが役立つことがあります。

操作も比較的シンプルで、環境によってはかなり便利です。

ただし、ノイズリダクション系のプラグインは、かけすぎると声の自然さまで失われることがあります。
あくまで補助として使い、まずはマイク位置や部屋の状態を整えることが大切だと思います。

YouTubeナレーションではSM7Bを使うことが増えた

SHURE SM7B

TLM107は音質面ではとても優秀ですが、現在のYouTubeナレーションではSM7Bを使うことが増えました。

理由は単純で、SM7Bの方が運用が楽だからです。

現在の収録環境については以下の記事にまとめました↓

バス歌手のYouTubeナレーション収録環境|SM7B・Apollo Twin・Logic Proで整える音作り

※この記事はアフィリエイト広告を含みます。 どうも氷見です。 前回の記事では、YouTubeナレーション用マイクとして使っている Shure SM7B について紹介しました。   今回…

TLM107はコンデンサーマイクなので、使用時にはファンタム電源が必要です。
また、使わないときは防湿庫で管理しています。

湿気の多い環境で長期間管理が悪いと、コンデンサーマイクはノイズなどのトラブルにつながる可能性があります。
そのため、僕はTLM107を使うときには防湿庫から出し、使い終わったら戻すようにしています。

この作業自体は難しくありません。
ただ、YouTubeナレーションのように、思いついたタイミングで一気に録りたい場合には、この一手間が意外と心理的なハードルになります。

以前は、マウントだけマイクスタンドに付けっぱなしにして、少しでも時短できるように工夫していました。

それでも、現在は「ここ一番の収録」「このマイクで録りたい」と思うときにTLM107を使い、日常的なYouTubeナレーションやSNS用の簡単な収録ではSM7Bを使うことが多いです。

録音は、気持ちが乗っているうちに終わらせることも大切です。

その意味では、マイクをデスクに常設できて、ノイズ処理の手間も減らしやすいSM7Bは、YouTube運用ではとても便利です。

男声・声楽録音で使った感想

動物のバンドのイラスト

TLM107を男声、特に自分のような低声で使うと、低域だけが強調されるというより、中音域の豊かさが印象に残ります。

ハイ寄りに煌びやかに聴かせるタイプというより、素直で密度のある音として録れる印象です。

編集していても、素材の情報量が多いと感じます。
これは、EQやコンプレッサーで手を加えても、素材の良さが失われにくいという意味です。

ミックスの中でも、声が極端に前に飛び出すというより、定位置に安定して存在してくれる感覚があります。
この安定感はかなり気に入っています。

テノールの録音に使ったこともありますが、高音が耳に刺さりにくく、素材として扱いやすい印象でした。
もちろん高音成分が録れていないわけではなく、耳につきやすい部分がマイルドに感じられる、というニュアンスです。

近接効果とマイク距離

マイクを持っている男性のイラスト

低音を豊かに録りたい場合は、マイクに少し近づくことで近接効果を活かすことができます。

ただし、近づきすぎると低域が膨らみすぎたり、言葉が少し不明瞭になったりすることもあります。
クラシック声楽では、声の芯だけでなく、響きや距離感も大切なので、近接しすぎない方が自然に録れる場面もあります。

TLM107は最大音圧レベルが高く、公式ではパッドなしで141dB、パッド使用時で最大153dBまで対応するとされています。

歌声の収録では、僕の使い方ではパッドなしで問題ないことが多いです。
ただし、大音量の楽器や非常に近い距離での収録では、パッドを使う選択肢があるのは安心です。

また、普通のナレーションであれば、僕の距離感ではポップガードなしでも実用的に録れることが多いです。
ただし、近めに録りたい場合や、破裂音が気になる場合は、保険としてポップガードを使った方が安心です。

ソプラノ録音で使った感想

オペラ歌手のイラスト

TLM107をソプラノ録音で使ったときの印象は、密度があり、角が少し丸まった大人っぽいサウンドです。

以前は別のコンデンサーマイクを使っていたこともありますが、そのマイクでは高音域の倍音成分が強く録れ、音としては華やかな反面、素材として扱いにくく感じることがありました。

TLM107で録ると、情報量は多いのに、耳につきやすい部分が比較的マイルドに感じられます。

そのままの音では、派手さという意味では少し地味に感じるかもしれません。
ただ、後からEQで調整すると、ある程度きらびやかな方向に持っていくこともできます。

もちろん、最初から高域の華やかさを強く出したい場合は、そういうキャラクターのマイクを使った方が楽で、結果も早いと思います。

ただ、TLM107は録った素材のバランスが良く、編集に耐えやすい印象があります。
その意味で、かなり潰しがきくマイクだと感じています。

自宅で声楽録音をするときの注意点

「注意」のイラスト文字

TLM107はコンデンサーマイクなので、自宅の普通の部屋でそのまま使うと、部屋鳴りをかなり拾うことがあります。

これはTLM107が悪いというより、高感度なコンデンサーマイクを自宅で使うときの難しさです。

特にソプラノのように音量や倍音が豊かな声を録る場合、部屋の響き、壁からの反射、マイクとの距離がかなり影響します。

僕の場合、アンビエントフィルターは少なくともあった方が安心だと感じています。

また、最近は真正面から録るだけでなく、少し斜めの位置から録る方法も気に入っています。
真正面で近くから録ると強く入りすぎることがありますが、少し角度をつけることで、声の当たり方や部屋の響きとのバランスが取りやすい場合があります。

声楽録音では、マイクそのものの性能だけでなく、

  • 距離
  • 角度
  • 部屋の響き
  • 立ち位置
  • 声量
  • 収録後の処理

が大きく影響します。

TLM107は情報量が多いマイクなので、良い部分も悪い部分も丁寧に拾います。
だからこそ、自宅で使う場合はセッティングが大切だと感じています。

SM7Bとの違い

TLM107とSM7Bは、どちらが上というより、用途が違います。

僕の使い方では、TLM107は「声の細かいニュアンスを録りたいとき」、SM7Bは「すぐに安定して録りたいとき」に向いています。

項目 TLM107 SM7B
種類 コンデンサー ダイナミック
音の細かさ 高い 必要十分
環境音 拾いやすい 抑えやすい
常設性 やや気を遣う しやすい
ナレーション 高音質だが環境次第 手軽で安定
声楽録音 向いている 用途限定
YouTube運用 少し手間 かなり便利

TLM107は、声のニュアンスや空気感を残したいときに頼りになります。

一方で、SM7Bは、部屋の反響や環境音を抑えやすく、デスクに常設しやすいので、YouTubeナレーションでは非常に便利です。

つまり、TLM107は「録音作品として音を丁寧に作りたいとき」、SM7Bは「日常的に安定して収録したいとき」に使いやすいマイクだと感じています。

U87aiやAT5047も検討したけれど、TLM107は継続していくことに

シュートダンスのイラスト

TLM107を使いながら、次のステップとしてU87aiやAT5047を検討したこともあります。

U87aiは実際に使ったことがありますし、トランスを搭載したマイクへの憧れもあります。
ただ、自宅環境での運用を考えると、感度の高さや価格面も含めて、慎重に考えたいマイクだと感じました。

また、価格改定で高額になったこともあり、すぐに導入するという判断にはなりませんでした。

ただ、今のホームレコーディング環境では、TLM107でも十分に仕事として成り立つ音は録れています。

もちろん、マイクを替えることで得られる音のキャラクターや満足感はあります。
しかし、自宅録音では、マイク本体の性能だけでなく、部屋の響き、ノイズ対策、セッティング、編集処理も同じくらい重要です。

Neumann公式でも、TLM107はホーム/プロジェクトスタジオのユーザーが、後処理やミックスの選択肢を残せるように原音に忠実な音像を収録する目的で開発されたマイクとして説明されています。

その意味では、TLM107は自宅録音でも高品位な素材を録るための選択肢として、今でも十分に価値のあるマイクだと思います。

収録環境がさらに整ってきたら、U87aiやAT5047のような別のキャラクターのマイクも改めて検討してみたいですが、少なくとも「TLM107では仕事ができない」ということはありません。

TLM107はどんな人におすすめか

「おすすめ」のPOPイラスト

TLM107は、以下のような人に向いていると思います。

  • 声の細かいニュアンスを録りたい人
  • ナレーションも歌も録りたい人
  • コンデンサーマイクらしい情報量が欲しい人
  • 自宅でもある程度録音環境を整えられる人
  • 1本で複数用途に使いたい人
  • 指向性やローカットを切り替えて使いたい人

逆に、以下のような人には少し注意が必要です。

  • 部屋の反響が多い人
  • とにかく気軽に録りたい人
  • マイクを常設してすぐ録りたい人
  • 環境音が多い場所で録る人
  • 防湿管理をしたくない人
  • できるだけ派手で明るい音を最初から録りたい人

特に、自宅で使う場合は、マイクそのものよりも部屋の響きの影響が大きいです。
TLM107は情報量が多いので、部屋が整っていないと、その状態もそのまま録れてしまいます。

ただ、ある程度環境を整えられるなら、ナレーションにも歌にも使える、かなり頼れるマイクだと思います。

まとめ:TLM107は今でも使い分ける価値がある

SM7BはYouTubeナレーションにとても便利です。

一方で、TLM107にはコンデンサーマイクならではの繊細さがあります。

声楽の録音、ソプラノ録音、声の細かいニュアンスを残したい収録では、今でもTLM107を使う価値は十分にあると感じています。

ただし、TLM107は高感度なコンデンサーマイクなので、部屋の響きや環境音の影響も受けやすいです。
防湿管理やセッティングの手間もあります。

そのため、僕の場合は、

  • YouTubeナレーションや手軽な収録:SM7B
  • 声楽録音や丁寧に音を作りたい収録:TLM107

という形で使い分けています。

どちらが上というより、用途によって適したマイクが違う、ということです。

TLM107は、派手に音を作るマイクではないかもしれません。
でも、声の質感を丁寧に残し、後から編集しやすい素材を録れるマイクだと感じています。

自宅でナレーションや声楽録音をしたい方、SM7Bのようなダイナミックマイクから一歩進んでコンデンサーマイクを検討している方には、十分候補に入るマイクだと思います。