23/08/31 生演奏の響きと感動:子どもから大人までの心をつかむオペラ公演 OMFオペラ“ラ・ボエーム”
氷見 健一郎公式サイトをご覧下さりありがとうございます。
OMFセイジ・オザワ松本フェスティバルに参加しておりまして、OMFオペラ”ラ・ボエーム”ではコッリーネ役のカバーキャストとして携わっていました。こちらの記事では2023年08月26日公演を鑑賞した感想などまとめたいと思います。
紹介する公演はこちらです↓
OMFオペラ ラ・ボエーム
日程 2023年8月26日(土)開演 17:00
会場 まつもと市民芸術館
指揮:ディエゴ・マテウス (小澤征爾音楽塾首席指揮者)
演出:デイヴィッド・ニース
装置・衣裳:ロバート・パージオーラ
照明:高沢立生
ウィグ・デザイン:アン・ネスミス
合唱指揮:根本卓也
プ ロデューサー :深町 達
出演
ミミ:中川 郁文
ロドルフォ:澤原 行正
ムゼッタ:別府 美沙子
マルチェッロ:井出 壮志朗
ショナール:市川 宥一郎
コッリーネ:松中 哲平
ベノワ:新見 準平
アルチンドーロ:髙梨 英次郎
合唱: 小澤征爾音楽塾合唱団、 OMF児童合唱団
演奏:小澤征爾音楽塾オーケストラ
ホールに入るとほぼ満席状態で、たくさんのお客様が来場されていました。今回は1、2幕のみの公演で、全幕公演ではないのですが、幅広い世代のお客様がいらっしゃり、注目度の高さがうかがえました。
楽器紹介が面白い!
公演が始まるといきなり本編ではなく、小澤征爾音楽塾オーケストラメンバーによる楽器紹介がはじまります。アルチンドーロ役の髙梨 英次郎さんが登場され、ボエームの中の一節を歌い拍手をもらうと、高梨さんの司会進行で各楽器の紹介の後にそれぞれの楽器で短くアレンジされた曲を演奏するという流れで進んでいきます。演奏曲は以下の通りです。
楽器名 | 曲目 |
トランペット | 鳩と少年(Pazu's Fanfare) |
ヴィオラ | おもちゃの兵隊のマーチ(キューピー3分クッキングのあの曲) |
クラリネット | アイドル(YOASOBI) |
フルート | 可愛くてごめん |
ホルン | カタツムリ(でんでんむし) |
コントラバス | 名探偵コナンのテーマ |
ハープ | 曲名紹介なし、、、上手から下手へ舞台スタッフさんのサポートで動きながら演奏してました! |
ファゴット | SUBTITLE(Official髭男dism) |
チンバッソ | ぞうさん |
ヴァイオリン | 呼び込みくんテーマ曲(呼び込み生音声付き) |
オーボエ | 有名テーマパークのメインキャラクターのマーチ |
チェロ | 崖の上のポニョ |
トロンボーン | 帝国のマーチ(スターウォーズ) |
打楽器 | 剣の舞 |
バンダ | ラ・ボエーム二幕より |
どの曲も楽器の魅力を紹介できて、中学生も知っているであろう曲をチョイスするラインがよく取れているなと感じました。またそれらの曲をそのまま演奏するのではなく、注目して聴いてもらえるように視覚的にも工夫されており、エンターテインメント性があって楽しかったです。僕は名探偵コナンのアレンジが好きでした。編曲者がとても気になります。とてもかっこよかったです♪
演奏場所は舞台上だけでなく、客席エリアでも行われ、演奏後からはけるまで惜しみない拍手が送られていました。指揮者のディエゴさんはベルリンから、演出のデイヴィッドさんはニューヨークから、オーケストラもいろんな国からの参加者が集まっています、音楽に国境はありませんというメッセージで楽器紹介は締めくくられます。それでは本編でまたお会いしましょうとかっこよくはけるのですが、2幕ではムゼッタの荷物持ち状態で登場するコントラスト、キャラクターのギャップを見せるこの演出は良いなと感じました。
ラ・ボエーム本編の始まり
約30分の楽器紹介の後に本編がスタートします。幕が上がると本格的な舞台美術で制作された屋根裏部屋が登場します。今回の舞台では客席から見えるか見えないかという部分までこだわって制作されており、部屋の窓の裏側までセットが組んであり、その細部までのこだわりにとても感銘を受けました。
今回のキャストは今年の3月に行われた小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXIXG.プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」公演のカバーを務めた方が演じられました。デイヴィッドさんの演出もスタンダードながらも面白いスパイスが散りばめられ、とてもおもしろい舞台でした。小澤征爾音楽塾オーケストラは、一つ一つの音をとても丁寧に扱う演奏で、場面に寄り添った優しい響きが好印象でした。
終演後は惜しみない拍手が送られていました。今回は2幕まででしたが、全幕版も是非拝見したいです!1時間半の公演時間、とても充実していました。
最後に、、、、
この公演後、一日あけて、一日2公演計4公演を市内中学1年生のために上演されました。若い世代のお客さんはとても反応がよく、大盛りあがりとなっておりました。こういう取り組みを通じて、未来の音楽愛好家の方が増えれば良いなと感じました。
松本市民芸術館では無観客状態で何度か歌ったことはあるのですが、とても良いホールで、いつか機会があればお客さんが入った状態でも歌ってみたいと今回強く思いました。バックステージまでもとてもきれいに作られており、居心地の良い空間でした。
余談ですが、実は稽古の様子の写真に数枚映り込んでおりまして、こちらのプログラムにも参加していることに気づいていらした方がいらっしゃったとしたらすごいです♪