24/02/03 -100の診療所より1本の用水路-<ペシャワール会>支援のためのベネフィットコンサートにてメサイアを鑑賞してきました。
氷見 健一郎公式サイトをご覧下さりありがとうございます。
昨日、アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲氏の意思を継ぐ <ペシャワール会>支援のためのベネフィットコンサートを聴きに、武蔵小金井にあります、宮地楽器ホール 大ホールに行ってきました。その時の様子をまとめたいと思います。
今回ご紹介する公演はこちら↓
~アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲氏の意思を継ぐ <ペシャワール会>支援のためのベネフィットコンサート
日付 2024/02/02(金)時間18:15開場 18:45開演
会場 小金井宮地楽器ホール大ホール
■指揮:寺本 義明
■ソプラノ:中江 早希
■アルト:増田 弥生
■テノール:西山 詩苑
■バス:原田 光
■チェンバロ:圓谷 俊貴
■オルガン:小林 牧子
■管弦楽:オラトリオ・シンフォニカJAPAN
■合唱:東京ライエンコーア、東京オラトリオ研究会、欅の会、小平コーラス・アカデミー
■合唱指揮:郡司 博、渡部智也
■主催:小金井バッハ・モーツァルトアカデミー
■共催・チケットお申し込み:おんがくの共同作業場
初めて小金井 宮地楽器ホールへ
小金井 宮地楽器ホール(小金井市民交流センター)は、武蔵小金井駅南口からすぐという好立地にあるホールです。2012年3月開館と比較的新しいホールで、3階にある約580席の大ホールはとてもおしゃれな空間でした。
施設としては小金井市の持ち物なのですが、命名権の導入で宮地楽器(宮地商会)さんが、その権利を有することとなり、この名前で親しまれているようです。
大ホールのほか、小ホール、市民ギャラリー、練習室、茶道や華道などに使える和室が併設されております。
施設詳細はこちらを御覧ください。
入り口にくるとアルファベット表記でホール名が掲載されてましたが、館内の案内も全て横文字表記でした。結構斬新でしたね。3階の受付を通り、その階がホールの1階席となっており、今回は2階席で鑑賞したので、階段を登り客席へ向かいました。
木の温かみを感じる大ホール、空間にマッチした照明と天上の反響板が印象的でした。豊かな響きに定評があるようで、この反響板は可動式で音響を調整できるとのことでした。今回の舞台では上手側に大きなスクリーンを立て、字幕が表示されていました。
ペシャワール会とは?
ペシャワール会は、医師である中村 哲さんのパキスタンでの医療活動を支援する目的で、1983年9月に結成された国際NGO(NPO)団体です。
中村さんは、現地の診療所に運ばれてくる患者を診察していくなかで、その原因の多くが”水”にあることに気が付きます。
2000年の大干ばつにより、飲み水の確保も難しくなり、喉の乾きを癒やすために泥水まで飲もうとする人が増えてしまいました。更に水がなければ農業もすることができなくなり、少なくなってしまった水、作物を巡って争うようになってしまいました。
「ほとんどの病気は十分な食べ物と清潔な飲料水があればかからない。飢えや渇きというのは薬では治せない」。この状況を打破するために、中村さんは医師という立場を超えて井戸を掘削することを始めます。この活動で1600本以上の井戸が掘削されました。
100の診療所より1本の用水路
日本での募金活動を通じての食料支援だけでなく、25キロ以上にもおよぶ用水路も建設し砂漠化した大地に緑を蘇らせました。この用水路も、手に入りやすい素材を用いて、現地の人でも維持していけることを考慮されたやり方で建設されました。
この用水路のお陰で、山手線の内側の面積の3倍以上の面積の土地が農地として蘇ったとお話を聞かせていただきました。
36年間にわたり人道支援を続けた中村 哲さんでしたが、2019年何者かに銃撃され死亡してしまいます。中村さんが亡くなってしまったあとも、ペシャワール会の方がその意志を次いで支援活動を続けていらっしゃいます。
詳しい活動についての情報はペシャワール会さんのサイトを御覧ください。
今回のメサイアについて
開演前にペシャワール会についてのトークから始まり、演奏はハイライト版で演奏時間は約100分ほどにまとめられていました。
バスソリストの歌唱曲は、
・The people that walked in darkness
・Why do the nations so furiously rage together(フル)
・Behold, I tell you a mystery
・the trumpet shall sound(Aパートのみ)
となっておりました。カット版となると1部がごそっと削られるイメージがありましたが、それぞれのアリアが聴けてよかったです。
演奏を聴いて
重心のしっかりしたチェロ、コントラバスが音楽の流れをしっかりと動かすオーケストラの演奏。寺本マエストロの音楽は、短い音符も跳ねすぎずに、丁寧に保つことを心がけていらっしゃるように感じました。
ソリストが舞台で待機せず、歌う直前に袖から入り、歌唱後また袖にはけていくというスタイルは初めてみました。それぞれの歌手の持ち味を生かした装飾、バリエーションが披露され、何度聴いても飽きないメサイアの醍醐味を感じました。また新しいバリエーションを考えなくてはと、とても良い刺激を受けました。
合唱団は約100人ほどで編成されておりました。4列に並び、最後列に男声が並ぶのですが、女声に比べ圧倒的に人数が少ない中、豊かな音圧でアンサンブルを支えたバスパートはなかなかの精鋭ぞろいだったのではないでしょうか。テノールパートの音色もとてもキレイで光っていました。
終曲のアーメンの演奏の後、長い静寂が。マエストロがタクトをおろした瞬間に拍手と歓声が湧き上がりました。
最後に
初めての宮地楽器ホールの豊かな音響の中で、メサイアを聴くことができて良かったです。今回2階席だったので、次は1階席も試してみたいです。駅から近いホールって良いですよね。
周辺のお店も充実しており、買い物を楽しんだ後に演奏会に行くという楽しみ方もいいなと思いました。また武蔵小金井に遊びに行きたいです。