23/11/14 新作作品の演奏会アルビレオ音楽展へ行ってきました。
氷見 健一郎公式サイトをご覧下さりありがとうございます。
11月13日、すみだトリフォニーホール小ホールで行われました作曲家集団 アルビレオ主催のアルビレオ音楽展を聴きに出かけてきました。公演詳細はこちらです↓
アルビレオ音楽展vol.33
日時 2023年11月13日 19時開演
会場 すみだトリフォニーホール 小ホール
演目
第一部
廣木 良行 フヱアリの国より フヱアリの国 貫く光 心よ
作詩 八木重吉 演奏 合唱団うぐいす
衛藤 恵子 これから〜朗読とピアノのための〜
朗読 響 由佳 ピアノ 吉井 彩
田口 順一 晩き日の夕べに のちのおもいに
作詩 立原 道造 演奏 合唱団うぐいす
第二部
リレーオペラ 六花抄
1幕 吹雪の誓い 作曲 小川 類
2幕 春の出会い 作曲 橘 晋太郎
3幕 里の夏 作曲 千原 卓也
4幕 雪の別れ 作曲 錦村 松輝
台本 平居 宏朗 映像 李 容旭、ヒグマ春夫
演奏 ソプラノ 中江 早希
〈Phidias Torio〉
ヴァイオリン 松岡 麻衣子
クラリネット、バスクラリネット 岩橋 龍太
ピアノ 川村 恵里佳
演奏会を鑑賞して
今回の演奏会では女声合唱、朗読とピアノ、ソプラノ独唱とクラリネット三重奏という編成の楽曲を聴くことができました。完全に個人的なイメージですが、現代新作作品発表会は、一番奇抜なことを考案した人が優勝という裏ルールがあるのではと思うことが多かったです。今回の演奏会もそういった作品のオンパレードなんだろうなと聴きに行ったのですが、そういうことはなく、魅力的な旋律が散りばめられた、とても聴きやすい演奏会でした。
合唱団うぐいすさんはとても親近感を持てる合唱団で、新作発表も精力的に行っておられるそうで、難しそうな曲だったのですが、素晴らしい団結力で歌っていらっしゃいました。
二曲目の「これから」では作曲者の「私の理解不能な曲を演奏してくださりありがとうございます」というプログラムノートに笑ってしまいましたが、聴いてみるとそこまで理解不能ということはなく、日本語へのこだわりを感じる応援歌になっていました。
休憩を挟み、後半はアルビレオの初めての試みというリレーオペラが演奏されました。ソプラノ独唱とクラリネット三重奏、そして映像を取り入れその世界観を表現します。リレーオペラということで全4幕を一幕ずつ別の作曲者が担当し、物語は冬からスタートしていきます。
六花抄の物語
今回のオペラ六花抄は雪女のお話をもとに制作されていました。雪女のお話を簡単に紹介すると、このお話は二人の歳の離れた木こりが吹雪で立ち往生し、火鉢もない寒い小屋で吹雪をやり過ごすところから始まります。小屋の中で寒さに凍えながら眠っていると、雪女が現れ、年上の木こりに息を吹きかけ殺してしまいます。年下の木こりが恐怖で震えていると、雪女は、若いものには手出しをしないけど、このことを誰かに話したら殺すぞと脅し消えてゆきます。
その一年後の冬にその木こりはお雪という美しく気の合う女性と出会い、結婚、そして10人の子宝に恵まれます。そんな幸せな日々を送っていたときに、ふとお雪に吹雪の夜のことを話してしまいます。そういえばあの雪女もお雪にそっくりだったなぁ、、、、
するとお雪が「それは私のことでした、もうここにはいられません、子ども達を大切にしないとその時はわかっていますね?」そう言い残し去ってゆき、それ以降姿をみせませんでした。というお話です。
誰かに話したら殺すといっていた雪女でしたが、年下の木こりとの出会い、子宝に恵まれたことで雪女の心境に変化が訪れたのがうかがい知れます。
今回の六花抄ではこのお話を忠実にオペラにするのではなく、男女の出会いにフォーカスし、季節の移り変わりを和歌のリズムとオノマトペで表現するということを目指したそうです。
六花抄を聴いてみて
日本特有の和歌のリズムを生かした作曲がとても心地よく、季節の移り変わりも美しく表現されていたように感じました。冬では音楽と映像が見事にリンクし、雪女の出会いの季節が印象的に描かれました。秋ではカコ トコ トコ、カコというカナカナでのオノマトペが世界観を見事に表し、木こりとお雪との別れの様子が切なくも美しく音楽によって紡がれました。
初見では理解しきれない曲のオンパレードかと予想していたのに、感動的な曲に出会うことができ、今回出かけていって良かったです。六花抄、もっとたくさんの方に聴いて頂きたいですが、また再演などあったら良いですね。
次回演奏会のお知らせ
いよいよ今週末になりました、マヨラカナームス東京の第10回演奏会 ヘンデル≪メサイア≫(モーツァルト編曲版)。本番は11/18 杉並公会堂にて15時開演です。皆様のお越しを心よりお待ちしております。