2024/02/25 ヨス・ファン・フェルトホーフェン合唱団 第二回演奏会《エリアス》を鑑賞してきました。
氷見健一郎公式サイトをご覧くださりありがとうございます。
昨日、ヨス・ファン・フェルトホーフェンさんの指揮でメンデルスゾーンの《エリアス》を楽しんできました。その様子をこの記事ではまとめたいと思います。
今回ご紹介する演奏会はこちら↓
メンデルスゾーン「エリアス」
今回のホールについて
東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルは、1997年9月10日にオープンしたコンサート専用ホールです。
音響的に最もよいとされているシューボックスタイプで、高い天井には大胆な変形ピラミッド型を採用し、内装には振動体・共鳴体として優れている「天然木」を使用。現代の最新音響技術を用いて、設計いたしました。これにより、ホール自身が、分離よく明瞭に響き、引き締まった低音とメローで艶のある音色を持つ巨大な楽器となります。天窓から溢れる自然光とともに、温かく心落ち着く空間を提供いたします。(公式サイトより)
座席数1632席、残響時間は満席時で約2秒という素晴らしい音響です。こちらのホールに来るのはBCJのドイツ・レクイエム公演以来です。演奏会では多くのお客さんがいらっしゃり、ほぼ満席でしたが、とても良い音響で演奏を楽しむことができました。こんな素晴らしいホールが初台駅から徒歩5分以内で到着できるロケーションにあるのが素晴らしいですね。
メンデルスゾーン《エリアス》
メンデルスゾーンは、1836年のデュッセルドルフのライン音楽祭でのオラトリオ《パウルス》初演で成功を収めました。《パウルス》は聖パウロの生涯を描いていますが、次は旧約聖書のテーマを探りたいと考え、預言者エリヤの生涯に焦点を当てることにしました。
オラトリオのリブレットはユリウス・シューブリングによるもので、直接聖書からの引用と、特に第1、第2列王記からの多くの部分の出来事を拡張したり、自由なテキストを組み合わせています。
何度も議論、修正を重ねて完成したリブレットを、メンデルスゾーンの友人ウィリアム・バーソロミューに英訳を依頼。英訳された歌詞に合うように加筆をし、本番の2週間前に《エリアス》が完成したそうです。
1846年8月26日イギリスのバーミンガムのタウンホールで《エリアス》(英語テキスト版)初演。メンデルスゾーン自身の指揮で演奏され、大絶賛されました。
その後メンデルスゾーンは再度修正を施し、1847年10月9日にドイツ語版《エリアス》がハンブルクにて初演を迎えます。
同年1847年11月14日メンデルスゾーン死去(38歳)。《パウルス》と《エリアス》はメンデルスゾーンの二大オラトリオと評されています。
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《エリアス》について調べてみると、エリアスのアリア【Es ist genug】がバッハのヨハネ受難曲の【Es ist vollbracht】の引用であることから、バッハの楽曲への関心の高さを伺えたりと、興味をそそられる情報がいろいろと出てきました。
当初は2部のエリアスのアリオーゾ【Ja,es sollen wohl Berge weichen】のあとの合唱でエリアスが天に昇天し、このオラトリオは終わる予定だったのだとか。でもここで終わってしまうと僕の好きな4重唱が無くなってしまっていたので、強くメンデルスゾーンを説得してくれたユリウス・シューブリングさんには感謝しなくてはいけませんw
とても良い曲なのでぜひ聴いてみてください↓
ヨス・ファン・フェルトホーフェンさんとは
ヨス・ファン・フェルトホーフェンさんは、指揮者としてだけでなく、芸術監督としても活躍しています。
彼はオランダをはじめ、海外でも多くの合唱団やオーケストラで指揮を行うと同時に、現在はアメリカのオレゴン・バッハ・フェスティバルの芸術監督を務めています。
35年以上にわたりオランダ・バッハ協会の芸術監督を務め、その協会を世界有数のアンサンブルに育て上げました。彼はバッハや同時代の楽曲にとどまらず、17-18世紀の「新しい」レパートリーを積極的に取り入れました。
また、彼は画期的なプロジェクト「All of Bach」を立ち上げ、オランダ・バッハ協会がバッハの全作品を演奏し、再収録してオンラインで世界に配信する取り組みを行っています。このプロジェクトは世界中で高い評価を受け、YouTubeや公式チャンネルを通じて2000万人以上のフォロワーが楽しんでいます。
フェルトホーフェンは古楽の分野で「新しい」レパートリーを披露し、多くの注目を浴びてきました。彼が手がけたテレマンやグラウンのオラトリオ、ガストルディの『聖母マリアのタベの祈り』、バッハの『マルコ受難曲』、『ケーテン侯のための葬送曲』などは特に優れた演奏として知られています。さらに、17世紀の知られざるオラトリオや音楽対話劇など、珍しい作品の再現にも取り組んでいます。
客演指揮者としても活躍し、オランダ室内合唱団、オランダ放送合唱団、フランドル放送合唱団、ボン・ベートーヴェン管弦楽団、ロベルト・シューマン・フィルハーモニー管弦楽団、エッセン・フィルハーモニー管弦楽団など、多くの合唱団やオーケストラを指揮してきました。
2007年にはオランダのベアトリクス女王から古楽の分野での革新的な業績を称えられ、オランダ騎士勲章・騎士の称号を受章しました。
演奏を聴いて
新日本フィルハーモニー交響楽団と100名を超える人数の合唱団、そしてソリストがエリアスの物語を紡ぎます。ソリストはオケ前位置と、下手後ろの位置とをシーンに合わせて移動し歌います。海を見に行く少年のソロは2Fオルガン下手側の位置でした。
YouTubeで参考にしていた古楽の演奏を指揮されていたヨスさんを、生で見ることができたのはとても貴重な体験でした。指揮はとてもシンプルかつ的確で、動きに無駄がありません。ソリストのアンサンブルでは特に弱音にこだわりを感じました。
今回の公演には字幕もついていました。舞台左右ではなく、オルガンの座席部分中央にパネルが設置され、とても見やすく、《エリアス》の物語の理解を助けるありがたい配慮でした。
ヨスさんのとても緻密に作り込まれた《エリアス》を生演奏で触れることができ、良い収穫となりました。
《エリアス》といえば、2021年にBCJでの演奏で聴いたのが記憶に新しいです(このときも東京オペラシティでしたね)。カーテンコールでエリアスを歌われた加耒 徹さんが一人で登場された時、いままで聞いたことがないほどの大きな拍手が鳴り響いた光景はかなり印象的でした。
この演奏以来、ソプラノの独唱曲【Höre, Israel】にドハマリし、一度聴いてしまうとずっとリピートしてしまうほどです。今回の演奏もとても素晴らしかったです。
3年目2025年はドイツ・レクイエム
ヨスさんのプロジェクトは5年計画で動いているようで、今回が2年目。来年も2月22日に演奏会があり、ブラームスの《ドイツ・レクイエム》が公演予定です。またしても東京オペラシティ、ソリストが中江 早希と加耒 徹さんです。これは要チェックですね!
合唱を楽しんでいらっしゃる方にも朗報です。来年の公演の合唱メンバーを現在募集しております(締め切りは明後日2月27日まで!)ヨスさんの指揮で歌えるチャンス、興味のある方ぜひ応募してみてはいかがでしょうか?
(2024/02/28追記↑こちら受付終了いたしました。)
第3回演奏会
ブラームス「ドイツ・レクイエム」
BRAHMS:Ein deutsches Requiem
2025年2月22日(土)14:00開演予定
東京オペラシティ コンサートホール
指揮:ヨス・ファン・フェルトホーフェン
ソプラノ:中江早希
バリトン:加耒 徹
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:ヨス・ファン・フェルトホーフェン合唱団
合唱指揮:山神健志